リッチモンド市立高校日本語教師
B.C.州公立高校日本語学科教師会会員
バンクーバー日本語補習学校高等部国語担当

上田洋子
'98年4月6日

現在B.C.州リッチモンド市のセカンダリースクールでグレード9から12(中3〜高3)の日本語クラスを担当。'89年より担当して以来、読み書き文法に偏らず、“生きた使える日本語教育”の実現に、あらゆる挑戦を試みてきました。折しも'95年にNJKの“Ganbatte!”が発行され、1巻から6巻を手にし、自分の目標と著者の意図がほぼ一致していることを発見し、早速副教として授業に取り入れてみたのです。以来7年間”生きた”日本語教材として活躍しています。

従来の教科書とは違って、若者の喜ぶアクションを通して、効率的に学べる唯一の日本語教科書と判明しました。また劇を演じる事からグループの一体感や助け合う喜びを学び取って行く生き生きとした生徒達を見て、こちらのアイデアもエスカレートして行きます。'96年には創作劇・ビデオ製作・発表会が学年最後のプロジェクトとして始まり、全学年合流、グループ編成、2カ月の準備、これが生徒に忘れ難い青春の思い出の場を提供する事となり、人気を維持しています。このプロジェクトは年中行事の一つとして今も続いています。

'97年からGanbatte!4巻もグレード12に活用。豊富な練習問題を重ねることで特に助詞の使い方が習得できるようです。読解文は簡単な長文の流れに触れる機会が無いので重宝し、3分間の読解力テストに活用していく間に、読解力がめきめき向上しました。卒業試験(PROVINCIAL EXAM)の準備にも大いに役立っています。

では、クラスでの“Ganbatte!"の活用法を紹介しましょう。テキスト各課のエピソードが連続ドラマの劇に構成されており、その課で習う重要文型が自然な会話の中に織り込まれています。生徒がこの劇を楽しみながら演じることによって、生きた日本語会話を身につけてくれたらという著者の意図が実験できるのです。まずグループを編成させ、演劇発表会の準備をさせます。これがテストとなり、せりふの暗記は勿論、イントネーション、流暢さ、演技、衣装、小道具、最近は音響効果まで出そうという熱の入れようです。全てが採点の対象となり、この大変なテストを生徒は意外なことに喜んでやってのけるのです。

ここまで来るためのステップとは…

  1. 文法“がんばって!”の頁の基本文型を頭にたたき込む。
  2. 練習“もっともっと”で文型応用練習をノートに書かせる。
  3. 応用“ひとやすみ”の絵を見ながら二人組がQ&A,オーラルテストをやる。
  4. エピソード全文のローマ字文をひらがなに書き換えるスピードテスト。 または先生にせりふを聞かせ聞き取り、ディクテーションテスト。

こうして最後に、内容も十分に理解できた上で、晴れて“ジョンさん”の演劇発表の日を迎えることになります。採点に追われながらも、心からの拍手を送りつつ…。